• 2018.03.06
  • 都市上空の遊び場、アーサーズシートへようこそ
アーサーズシートと言えば、エディンバラのお城とも呼べる場所。この街を訪れたなら、雨や霧に見舞われたとしても絶対に外してほしくないスポットです。
素晴らしい街の眺めを楽しむなら、何と言ってもアーサーズシートが最高。エディンバラ城やカールトンヒルからの眺望も魅力的ですが、個人的にはここが一番のお気に入りです。
‘Seat of Arthur’(アーサー王の玉座)というのは、街を見下ろす高さ250m(低く感じるかもしれませんが、ここが海のそばだということを忘れないで!)の死火山の頂上が、まるで玉座のようだという理由で付いた名前です。アーサーズシートがあるのはエディンバラ市の中心部。死火山、三つの湖、教会の跡地、飲料水の天然水源やたくさんの遊歩道や曲がりくねった小道がひしめくホリールード公園の中です。


ロイヤルマイルの端にあり、ホリールードハウス宮殿(英国王家の公式住居です)やスコットランド国会議事堂をはじめ、街の重要なスポットからも近いこの場所は、まさに理想的なロケーションです。
比較的簡単に頂上まで行けると言われていますが、正直なところ、途中で息が上がってしまって何度か足を止める必要があったのは、私だけではなかったように見受けられました。
歩いて登って眺めを楽しむために晴れ間が来るのを待っていたのですが、強風に見舞われずに2月の青空を拝もうなんて、そうそう望めることではありません。週末の混雑ぶりを見た感じから察するに、エディンバラではここが日曜日のお散歩コースのようです。考えることは誰でも同じらしく、玉座の頂上では座る場所さえ見つからないほどでした。

市内の中心地からアーサーズシートに向かって、ソールズベリークラッグスと呼ばれる崖のそばを車で走っていくと、市内からいつも見えている丘の目の前に着きます。
単純にソールズベリー クラッグスの頂上を目指すなら、右側に最初に現れる小道を行きます。私は一人ではなかったから良かったけれど、小道だらけの道中には何の表示も見当たりません。車を降りた後、新しいウォーキングシューズを履いてご機嫌だった私は、かなりのスピードでずいぶん長く歩きました。ぬかるみだらけの道はとても滑りやすく、下り坂で転んでいる人たちを見かけました。バレリーナシューズやレギュラーブーツで歩いている多くの観光客を見たうえで一つだけアドバイスをさせてもらうなら、変わった履物は避け、ちゃんとしたシューズを履いて行ったほうがいいです。夏の間は道の状態もいいはずですが、頂上付近は岩だらけで捻挫しやすくなるので注意が必要です。それから、飲みものは必ず持参しましょう。歩き出す前にボトル入りの水を買おうと言っていたのに、案の定それを忘れてしまったため、私たちの道行きは文字通り本当にしんどいものになりました。あぁ水を買っておけばよかったと、道中でどれほど後悔したことか。スタート地点にあった小さなアイスクリーム自販機を思い出しながら、わざわざ引き返してアイスを買うには遠すぎる距離を歩いた時点で、そのありがたみを思い知るという苦い経験もしました。
聖アンソニー教会の跡地まで来たところで、カールトンヒルとホリールードハウス宮殿の素晴らしい眺めをしばし楽しみながら最初の休憩を取りました。
その後もたっぷり1時間ほど上り坂を歩き、我々はついに登頂を果たしました!


頂上からは、エディンバラ城一帯やホリールードハウス宮殿と公園、近いうちに訪れる予定の墓地などの眺めを堪能できました。
ホリールード公園は、数世紀前にジェームス5世が作った公園です。当時はもっぱら英国王族が使用するだけの広い狩猟場でした。年月を経て民間化された公園は、今では24時間入ることができます。
公園の維持と安全対策はヒストリック スコットランドの管轄です。標識や遊歩道も含め、公園に関するすべての管理と運営をこの団体が行っています。
ヒストリック スコットランドは公園散策を楽しみたい人のために、大まかに分けて3つのルートを推奨しています。通常、見学者は公園のあるホリールードハウス宮殿の右側の道から歩き始めます。通りを隔てたところに敷地内のすべての見どころを網羅した表示があります。個人的には、遊歩道の入り口に通じる階段そばの小道から入って旧市街の方向に進むのがお勧めです。どこまでも歩きにくい小道をひたすら上り続けて頂上までたどり着くと、旧市街やカールトンヒルの全貌を見渡せる絶好の撮影スポットが待っています。フォース湾(スコットランドの陸地に北海が侵入しているところ)も見渡せます。丘を下っていく途中の小道では、ソールズベリー クラッグスの玄武岩柱を見ることもできます。都会の中心地でありながら歴史の断片を肌で感じられるなんて、素敵な遊び場だと思いませんか?

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 年齢酉年(とり)
  • 性別
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。スコットランドのエジンバラ在住で、土木技師をしています。趣味は詩を書くことです。9年ほど前にイタリアからスコットランドへ移住し、この土地に惚れ込んでいます。雨の多い気候を好まない人もいますが、その気候のおかげでここは緑豊かな風景に恵まれています。暇を見つけては、車でエジンバラ郊外へ湖や渓谷を見に出かけています。

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